どうすれば私たちは幸福になれるか。ポジティブ心理学の研究成果をお伝えします。どのような環境でも、人は幸福になれます。大切なのは、どんな行動習慣を持っているかです。
■人はモノで幸せになれるか
豪華な食事も、宝石も、一瞬は人を幸せにしますが、長続きはしません。心理学の研究によれば、お金や環境や見た目によって変わる幸福度は、わずか10パーセントです。
車椅子になった人と宝くじが当たった人の、1年後の幸福感はそれほど違わなかったという研究もあります。
あなたの幸せを決めるのは、毎日どんな選択をするのか、どんな行動習慣を持っているかです。子どもに教えるべきは、この行動習慣です。
幸福感が高まると、結果的に健康になり、長生きし、収入も高まることがわかっています。
■心理学が実証した幸福になれる行動習慣
■ありがとう
感謝の心を表せる人は、幸福感が高まります。人はどんなものにも慣れてしまうので、お金がいくらあっても幸福がどんどん高まるわけではありません。けれども感謝できる人は、毎日の日常生活に感謝して、幸福が持続します。
心理学の研究によれば、ありがとうのカードを書くと幸福感が高まりました。毎日寝る前に、その日起きた感謝な出来事を数え上げると、幸福感が高まりました。
感謝することは、幸福になれる行動習慣の土台です。いつも感謝している人は、見るからに幸せそうですね。ありがとうと言ってもらうと気分が良いですけれども、ありがとうを言う人こそが幸福になれる人です。
■親切
人に対する親切行動を続けている人は、幸福感が高くなります。ボランティアをしてもらうと幸福感が高まりますが、ボランティアをしている人は、もっと幸福感が高まります。
人に親切にしたり、人の役に立った時に、心が温かくなった記憶は多くの人が持っていることでしょう。
夜回り先生として有名な水谷修先生は、少年を構成させるときに、しばしば良いことをさせます。近所のおばあさんの手伝いなどをさせるのです。そうすると、最初は渋々始めた少年が、次第に生き生きとしてくるのです。
人は、確かにお金が欲しいとか楽したいとか有名になりたいなどと考えますけれども、人の役に立ちたいとも心の底で願っているのです。
■熱中する
熱中するものを持っている人は、幸福感が高まります。仕事でも、スポーツでも、芸術でも。熱中している間は、嫌なことを忘れます。無我の境地です。時間が早くすぎます。
■目標を持つ
目標を持って、目標に向かっている人は、幸福感が高いことがわかっています。心理学の研究によれば、人は目標を達成して幸福になるのではなく、目標に向かうことによって幸福になっていきます。
生きる目標、人生の目的を持っている人は、幸福です。
■人を許す
人を恨むよりも、人を許す方が幸福になれます。ただし、これはとても難しいことです。許しなさいとは、なかなか言えません。けれども、心理学的には、幸福になるためには許す方が効果的だとは言えます。
仲良しこよしになる必要はありません。心の中で、許すと言うだけで十分です。
■人と比較しない、考えすぎない
人と比較することによる幸福感は、とても不安定です。人との比較ではない、安定した幸福感が必要です。人は、しばしば考えすぎます。無駄に考えることが、幸福感の邪魔をします。
■楽天的になる
楽天的な人は、物事にチャレンジできます。チャレンジの回数が増えれば、成功の確率も上がります。チャレンジし続けること自体が幸福感を高めます。
楽天的になるとは、一切の心配をするなとか、ひたすら前向きになれと言うのでもありません。心配や不安も必要です。でも、悪いことが起きても、それでも自分のベストを尽くすことができるというのが、楽天的ということです。
■ストレスの解消法を知る
不幸な人は、幸福な人たちがとても幸運で悪い出来事と出会っていないからだと誤解しています。不幸はどの人にも襲ってきます。ただ、幸福な人々は、不幸の乗り越え方を知っているのです。
様々な困難には、出会うでしょう。その困難をどう捉え、そのストレスをどう解消していくかを学ぶことが、幸福につながります。
■人間関係を大切にする
家族や友人との人間関係を大切にしている人は、幸福感が高まります。家族の不和は、大きなストレスですね。また、高齢になった時の幸福感に友人の存在が大切だという研究もあります。
家族は大切なのですが、家族はときに重すぎます。友人関係は、もっとフレキシブルなので、幸福に役立つことも多いのです。
■人生を深く味わう
結果だけではなく、内面を重んじます。同じ経験でも、深く味わい、良い思い出にしていきます。これが、人を幸福にします。
人生とは、過去の出来事の集約ではなく、過去の出来事の記憶の仕方と解釈です。
友人たちや家族親戚と、アルバムを開き、昔を懐かしむのも幸福感を高めます。高齢者が昔話をするのも同じです。
こういうときに語る「昔は良かった」は、必ずしも現在の否定にはなりません。
■スポーツ
運動することが幸福感を高めることも、心理学的に実証されています。
■幸福な人のそばに行く
心理学の研究によれば、不幸な人は孤独ではなく、不幸な人同士で集まって、さらにあ互いに不幸にしています。一方、幸福な人も集まって互いに幸福にしあっています。
世の中には、幸福な人々の集まりがあります。日のため人のための活動をしているグループや、趣味のグループ。あなたが幸福になりたいと思うなら、そんな人たちのところへ行きましょう。あなたも、自然と幸福になれる行動習慣を身につけます。
子どもたちも、どんな生活習慣を持つか、どんな人々と付き合って行くのかが、その子の幸せを左右するでしょう。どのような子どもも、幸せになれるのです。