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コーヒーブレイク~心理学~一覧

信じるものは~できうる。ピグマリオン効果

できないことはできないけれど、できることまでできなくなるのはもったいない。
■「できる」と思うこと、「できない」と思うこと

精神論で、何でもできると叫べばよいわけではありません。けれども、たとえば走り高跳びの選手は、走り出す前にイメージを作ります。ほんの少しバーが高くなるだけで、選手には大きなプレッシャーになるのですが、「跳べる」というイメージを作り上げて走り出します。

そんなイメージを作っても作らなくても同じなら、時間をかけてイメージを作り上げることは、無駄なことでしょう。でも、無駄ではないから、イメージを作ることがジャンプの成功につながることを知っているから、選手は時間をかけて跳ぶための心の準備をするのです。
■「どうせ無理」の心理

「どうせ無理だよ」。人はそんなことを思い、口にも出します。これは、どんな心理でしょう。まず、夢や希望を失っています。目標がたかすぎるのだと感じています。あるいは、自分は価値がないダメ人間だと思い込んでいます。努力は無駄だと言う思いが、「どうせ無理」というイメージと言葉を作り出すのでしょう。そして「どうせ無理」は、できなかったときに傷つかないですむための心の予防線です。

「どうせ無理」と思い込めば、やる気を失います。努力する意味を失います。どうせ試験に受かりっこないと思えば、勉強をしません。自分はだめな人間だと毎日思っていると、そのネガティブな感情に心が支配されます。

勉強する意欲を失い、食欲や適度な運動など健康的な生活を失い、合格のために情報収集や援助要請もできなくなります。そうなれば、当然不合格です。そうすると、やっぱり自分には無理だったと考え、「どうせ無理」という考えが正しかったとさらに強く思うでしょう。

自分はどうせ嫌われると思い込めば、積極的に相手に近づきません。相手から話しかけられても、笑顔で応対できません。これでは、親しい関係になることは難しいでしょう。その結果、やっぱり自分はだめだった、どうせ無理だったんだ、とまた思い込むでしょう。
■突然の不安

私は、小中高と演劇部だったのですが、中学校の演劇部の時にこんなことがありました。

芝居の中で、私の役は密室に閉じ込められている役です。その部屋の上には窓があって、私はSOSを書いた紙をまるめて、窓に向って投げるシーンがありました。

練習で、何度も投げましたが、全部成功しました。丸められた紙は、窓の外に飛んでいきます。それほど難しい作業ではありません。ところが、一番大切な本番のとき。丸めた紙を投げようとしたその瞬間、「入らないかもしれない」という思いが一瞬心をよぎりました。

結果は失敗。紙は窓枠に当たって落ちてしまいました。それでも当時の私は多少の舞台度胸はあったようで、落ちた紙を拾い、もう一度投げなおして芝居は止まることなく進みましたが。

しかし、練習ではいつも成功していたのに。上手く入らないかもしれないなんて、考えたこともなかったのに。ほんの一瞬、その不安に襲われたわけです。そんなことを考えてしまえば、不安と緊張で手はすくみ、いつもの行動がとれなくなったのでしょう。

「できない」「できないかもしれない」。そんな思いになると、頭も心も体も、思うように動かなくなるのです。その結果が、失敗です。
■予言の自己成就

話したことが実際にその通りになってしまうのが、予言の自己成就です。これは、社会でも個人の心や行動にも起こります。

たとえば、ある信用金庫が危ないと誰かが語る。語った内容が広がっていき、みんなが危ないと語り始める。そうすると、うわさはさらにひろがり、預金を下ろす人が殺到し、その様子を見た人がさらに不安にかられる。

こんなことが起きれば、実際に危機的状況に陥ります。これは、以前豊川信用金庫で実際にあった話です。

禁煙に関する研究では、「自分はどうせ禁煙に失敗するだろう」と語っているひとは実際に失敗するという研究があります。自分は、こういう場面でこういうふうにタバコをすってしまうだろうと語った人は、実際にそのとおりになりました。まさに、予言の自己成就です。

非行少年に関する研究では、子ども時代に「どうせ将来おれは警察のお世話になるような人間だよ」と話していた子は実際にそうなりやすいことも確かめられています。

悪いことだけではなく、良いことにも予言の自己成就は起きます。それは、個人の心の中だけでも起きますし、人間関係の中にも起きます。

禁煙にせよ、毎朝のジョギングにせよ、ちょっとそう思うだけではなく、強く思う、その文字を書くなどによって、実際の行動が生まれやすくなります。

さらに、みんなの前で宣言したり、紙に書いて張ったりすれば、なおさら行動は続きやすくなるでしょう。特に、自分にとって大切な人に伝えるのは効果的です。

みんなに見えるように禁煙と書いてあるその紙の前でタバコをすうのは、なかなかできないでしょう。恋人に「ボクは禁煙する」と宣言しておいて、次のデートの時にタバコをすうのは、かっこ悪いでしょう。

言葉にする、文字に書く行為は、自分で自分の行動をコントロールすることにもつながります。言葉や文字によってイメージが作られることもあります。

ある人は、パーティーで酔ってしまいそうなとき、鏡の前で自分自身に言い聞かせます。「しっかりしろ、酔っ払ってどうする。しっかりして、きちんとみんなと会話するんだ」。そうすると、実際にしゃんとするそうです。

受験指導の一つの方法として、まだ試験まで1年もあるといに、合格体験記を書かせる方法があります。自由に書かせるのですが、ほとんどの生徒は、「途中で辛いことや失敗することもあったけど、でもあきらめないでがんばって無事合格しました」といったことを書きます。

そうすると、この架空の合格体験記のとおりのことが起きたりするのです。予言の自己成就です。このような現象を私達は昔から知っていたので、「言霊」(ことだま)とか、「縁起でもないことは言うな」という考えが生まれたのでしょう。
■ピグマリオン

教育心理学の研究です。ある学校のクラスで心理テストを行い、何人かの子に関して「この子は伸びる」という情報を教師に与えます。実はこの心理テストはインチキで、ランダムに選んだ子に関して嘘の情報として「伸びる」と伝えられました。

ところが、そのあとの追跡調査によれば、「伸びる」と言われた子は実際に伸びていました。これを、ピグマリオン効果といいます。

ピグマリオンとはギリシャ神話に登場する彫刻家で、美しい彫刻に恋をした結果、彫刻が人間になるという話です。ここから、ミュージカル「マイフェアレディー」の原作戯曲「ピグマリオン」が書かれました。この物語では、下品な娘をレディーにする話が描かれています。

学校における研究では、先生がえこひいいきした訳ではありませんでした。ただ綿密に調べると、教師は無意識のうちに、伸びると信じた子どもに他の子よりも視線を送っていました。その子に話すときは前かがみになり、その子に質問するときは、回答をじっくり待ちました。このような小さなことの積み重ねが、子どもの能力を伸ばすことにつながったのでしょう。

信じることで魔法が起きるわけではありませんが、期待が行動を生み、行動の積み重ねが成果を生むのでしょう。

もしもこの子はダメだと感じたらどうでしょう。目はあわせず、発言のチャンスも減るでしょう。質問をして少し沈黙すれば、すぐ次の子に質問することになるでしょう。こうなってしまうば、伸びるはずの子ものびません。

ミュージカルの中では、女性をレディーにしたければ、レディーになれることを信じてレディーとして扱えと語られています。
■信じる力

信じたからと言って何でもできるわけではありません。けれども、信じなければできることもできなくなります。「どうせ」は、努力を放棄する言葉でしょう。

本当に、自分や他の誰かが伸びるのかどうか、できるのかどうか、その答えは努力しチャレンジして見なければわかりません。しかし、私達はしばしば試してみる前にあきらめます。「どうせ無理」と言っておくことで、努力する大変さから逃れ、失敗したときのダメージを小さくしようとします。でも、どのためにせっかくのチャンスを失うこともあるでしょう。

できないことはできないけれど、できることはできるようになりたいと思います。そのために必用なことは、「どうせ無理」を乗り越えて、「きっとできる」と信じる力を発揮することなのです。


B-3番外編

やる気を奪うもの?

やる気の動機づけには種類がある?

長持ちするやる気の動機づけ?

■衛生要因

ハーズバーグは、労働環境や人間関係の悪さが、やる気を奪うと言っています。劣悪な環境では、やる気ある行動は生まれません。ただし、どんなに給料を上げても、それでどんどんやる気が高まるわけではありません。

やる気が高まり、積極的に仕事をするためには、お金だけではなく仕事自体の満足感が必要です。

■外発的動機づけと内発的動機づけ

お金やテストのため、上司や親に叱られないための活動は、外発的動機づけです。一方、知的好奇心や良い仕事をしたいという純粋な思いが、内発的動機づけです。

内発的動機づけの方が、楽しく、質が高く、持続します。内発的動機づけは、外から報酬を与えられるのではなく、活動自体の満足感が報酬となる動機づけです。

■外発的動機づけから内発的動機づけへの変化

最初から、勉強や仕事に内発的動機づけを持っていれば良いでしょう。小さな子供の活動や、高校生の文化祭の準備などであれば、そうでしょう。しかし、必要な勉強や仕事に最初から内発的に取り組める人ばかりではありません。

最初は、大人や上司に言われて、言われるままに行う外発的動機づけです。これは、当然です。勉強も、仕事も、指示を受けて行います。最初は、それも必要です。

でも、いつまでも指示されたので仕方なく行動している人は、やる気がないと言われてしまうでしょう。

上司や先生との人間関係が良いと、言われて仕方なく行動するのではなく、上司や先生を信頼して活動するようになります。さらに、上司や先生を喜ばせたい思いが湧いてきます。

野球選手が、監督を男にしたいとか、監督を甲子園に連れて行きたいなどと語る状態です。こうした状態になれれば、さらに上の活動自体の意義を理解し、内発的に動機づけられて活動できるようになります。

内発的動機づけで行動するためには、上司や先生との信頼関係があり、言われて行う訓練から、自ら進んで行う活動までのステップが必要となるのです。

■勤労感謝

仕事も勉強も、地獄にもなれば天国にもなるでしょう。やる気を高めるのは、馬車馬のように苦しい活動をすることではありません。やる気がある状態は、楽しく生き生きした状態です。

やる気ある活動は、人々を幸福にし、健康にし、結果的に成績や業績をアップさせます。心の中のやる気を行動として表せるように、互いに支え合いたいと思います。


Bー4結局、その人を決定づけるのは能力よりも選択と言えるだろう。

その人はどのような人ですか?

その人はどのような人生を歩んできましたか?

これからどのような人生を送りたいですか?

■能力と選択の心理学

人の人生を決めるのは何でしょうか。親やお金などの環境、それとも容姿などでしょうか。たしかに、それらは人生に影響を与えます。それも決して小さな影響ではありません。けれども、「心理学の研究によれば、お金や環境や見た目によって変わる幸福度は、わずか10パーセントです」<ポジディブ心理学>

親の養育態度によって、子どものパーソナリティが決定されるものではないことも、現代心理学の研究成果です。

さらに心理学の研究によれば、知能の高さよりも、親の財産よりも、美男美女であることよりも、最も大切なのは「自己制御力」だとわかっています。

何を持っていても持っていなくても、自分の特徴を制御して活用していく力こそが、豊かな人生を送るためには大切と言えます。

■能力ではなく選択

1、誰かを殴って強盗しようと思ったとします。しかし腕力が足りない。そんな時は、武器を使えば良いでしょう。悪の仲間を集めても良いでしょう。「誰かを暴力でねじ伏せる」という結果は同じものが得られるでしょう。
2、困っている誰かの荷物を持ってあげようと思ったとしましょう。けれども腕力が足りません。そんな時は、台車を借りてきても良いでしょうし、手伝ってくれる仲間を集めても良いでしょう。荷物を運ぶという結果は同じものが得られます。

1も2も腕力があれば実現可能というところは腕力という能力にかかっていると思います。したがって、腕力という能力がなければ行ことができないと言えます。

しかし、腕力がなくとも、武器を使ったり台車を借りてくるという選択によって結果は同じものが得られます。

これは能力ではなく選択によって人生が決まり変わってくると言えるのではないでしょうか。

能力があるかないではなく、どのような選択をするかが、人生を決めることが多いということは知っておく必要があることでしょう。

なんでも自分でやりたがる人?

なんでも自分でやりたがる人がいます。

その理由が「人に任せられないから自分でやる」ということであれば、その人の人生は限りあるものになる可能性が高いです。

しかし、人に任せることができる人は、その人生は豊かになることでしょう。なぜなら、これこそが”選択”を連続している状態だからです。

確かに、大企業のトップは自らやるのではなく、”選択”していることが多いと感じます。


B-3 メンタル×やる気×持続(2/2)

機会(目標)→支援(情報や心理的応援)

本当は、人はやる気は持っています。前回の内容で分かる通り、大切なのは目標です。その人にとってチャレンジしたくなるような、魅力的でチャレンジフルな目標が与えられる機会が必要です。目標が無くなっても、機会から、また新しい目標を得ることができます。これは結果的に目標が常に有る状態といえます。
この状態こそがやる気を「持続させる」秘訣とも言えます。

目標は支援を必要とします

だからこそ、機会を与える管理職がいるわけです。管理職はその社員にふさわしい仕事の機会を与えなければなりません。

管理職としてダメなことは、人に目標を与えて、あとは「頑張れ」というだけでは不十分です。どうすれば目標へ近づけるか?をアドバイスする(支援)必要があります。この条件が整って、人は行動に移すことができます。本来であれば支援は道の方向を示す程度でしょう。

【→評価・報酬→成長→新しい目標】

そして、その行動が評価され報酬が与えられることで、人は成長し続け(継続)、次の目標へ向かえるというやる気のスパイラル(持続させる)が生まれるのです。


B-3「やる気」には「行動」がなければ成就しない。(1/2)

やる気と行動は別もの

■やる気はあるのに動けない

他者から「やる気がない!」「やる気を出せ!」と言われる人でも、実は「やる気」はあるのです。けれども「やる気」はあるのに、行動が生まれません。仕事でも、学校でも、恋愛でも、そんな人々が多い。なぜ動けないのでしょうか。では、どうすれば良いのでしょう。

やる気があっても行動できない3つの理由

■理由1:目標の不存在

理由の一番目は、目標の不在です。例えば、人が喉がカラカラで「水を飲みたい!」と思っていたとしましょう。水を飲みたいやる気は満々です。けれども、もしも人が砂漠の真ん中にいたらどうでしょう。360度、砂ばかり。これでは、人は力なく座っているだけにとどまるでしょう。

これがやる気はあるのに、行動できない状態です。他者から見れば、やる気がない人に見えるでしょう。

けれども、もしも丘の向こうにオアシスがあると知ればどうでしょう。人は、走り出します。そうなれば、誰が見てもやる気がある人に見えるでしょう。

やる気は目標を必要としています。目標があれば行動が出来ます。

■理由2:目標への道がない

目標が示されても、行動できないときがあります。それは目標にたどり着く方法を知らない場合です。たとえば、「この崖を100メートル登ったらオアシスがある」と単に言われても、人は動けません。目標(水)があり、そこに近づく具体的方法を知る必要があります。

しつこいかもしれませんが、具体的方法はここの「技術」があなたに教えてくれることでしょう。

■理由3:失敗への不安

人はやる気を持ち、目標を目指して行動しようとします。同時に、人は失敗を恐れます。心の中で、成功したい気持ちと失敗したくない気持ちがせめぎ合って、成功したい気持ちが勝てば行動を起こし、失敗したくない気持ちが勝れば何もしません。

大切なのは、たとえ失敗しても大丈夫だと思える(状態的に)ことです。リスクがあってもチャレンジできる雰囲気、家庭、職場の風土が求められます。

また同じ環境でも、人によって失敗した時にダメージ予想が異なります。たとえば、失恋したらどうなるかと想像した時に、ずっとは落ち込んでいるとします。この時のダメージ予想の双極は次のとおり。

1,それでも大丈夫だと感じられる人もいます。
2,失恋したら人生終わりだと感じる人もいます。

2番、これでは愛の告白などできません。

失敗しても良いというわけではありませんが、1番の失敗しても大丈夫だと思えることが、やる気を行動に移すためには必要な場合があります。

ただ、この「理由3」は少し机上の空論とも言うことが出来ます。それはソレで受け流しても良いと思う次第です。


B-2健康を心理学的に説明してみると?(改)

ここでの愛とは色恋の愛に限ったことではない。
ここでの働く・仕事とは労働に限ったことではない。
もちろん、其々を含みさえもしますが、その意味は広義に捉える必要があります。

健康とは

フロイトは、晩年に受けたインタビューの中で、「健康な人とはどういう人ですか?」と質問され次のように答えています。

「健康な人とは、愛することと働くことができる人です」。

これは、どういう意味でしょうか。

そして、どうすれば私たちは健康に幸せに生きていけるのでしょうか。フロイトの言葉を読み解きながら考えてみます。

愛することとは

愛することと働くことは、言葉を変えて言えば、誰かを必要とし、誰かに必要とされるとも言えます。

愛するとは、誰かに心を注ぐことです。愛とは、誰かのために心の痛みを感じます。愛する人の幸せを願います。愛する人のために、全力を注ぎます。ただし、もちろん心理学というだけあって「一般的には」という前提があることは常に忘れてはいけません。

片思いの辛さは、愛する人にサービスしてもらえない辛さはさほどではなく片思いの辛さは、こんなに愛しているのに、片思いでは何もできない辛さです。

愛する人の成長を願っています。誰かを愛し、成長を願える人は、自分に何があっても希望を失うことを諦めます。他の誰かのために頑張れる人は、いつまでも希望とやる気を失いません。これを否定できる人はいないでしょう。そして、これを言い換えると、他の誰かがいないとやる気は続かないいうことになります。

だからこそ、愛する対象を必要と言えます。すると、やりがいを見つけます。人のため、お客様のためにという思いで、自己犠牲的に全力を出せる人は、幸福な人々です。やる気や希望を、自然と持つことができます。

心の健康

心が健康を失うと、他者への関心を失います。自分自身の殻の中に閉じこもります。「ありがとう」や「ごめんなさい」も言えません。

ますます人間関係が悪くなり、不健康の悪循環に入っていくでしょう。いわゆる負のスパイラルです。

働くこと

働くことは、単に体を動かすことではありません。給料が出るかどうかは別として、誰かの役に立つことも働くことと言えます。

つまり、働くことができるとは、誰かに必要とされることです。

人は、誰かに必要とされたがります。自分なんかいなくてもいいと感じてしまうのは、本当は辛いことでしょう。

もっとより良く生きるためには、健康的に生きていくために、誰かの役に立ちたいと願います。ならば誰かに必要とされたいという考えも出てくることでしょう。

この文章を誰も読んでくれなくても、趣味で原稿を書くことはできます。でもそれは、仕事にはなりません。誰一人通らない道の石ころを趣味で片付けることはあっても、それは仕事にはなりません。

趣味は趣味で楽しいのですが、人はそれだけでは100%満たされません。心の奥底で誰かの役に立ちたいと願います。誰か一人でかまわないのです。

人は誰かに必要とされたい、お仕事がしたいと願っています。

愛すること・働くこと

お金は大切です。給料が出ないで会社で働くことはないでしょう。それでも人はお金のためだけに働くわけでもありません。

お金は、世の中が認めてくれていることの象徴ですから、お金自体が悪いわけではありません。けれども、お金の奴隷になっては健康になれません。

愛するこ・
働くこと
誰かを必要とすること
誰かに必要とされること

可能な限りこれを行動の動機にできると、私たちはとても健康的に生きられるのです。

あてはめる

実際、自らに当てはめて考える時は、愛や仕事という言葉は柔軟に捉える事で誰でもあてはめることができるでしょう。

逆に、

誰かを必要とすること
誰かに必要とされること

ここからあてはめても構わないでしょう。

なるほど、確かに。少なくとも今、誰かを必要としている。これは、愛があるといえる事になる。確かに、それは幸せなのだろう。その逆もしかりだから、誰も必要としない事は、幸せでない、と感じる。

誰かに必要とされている可能性のほど、そう思える時間はとても幸せだ。その逆もしかりだから、誰にも必要とされたくないとは言いにくい。

そして、今、説明は必要ないくらい健康的だ。体が健康であり、心も健康という真の健康は、書く技術と同じように学ばなければ手に入らない。


B-1ポジティブ心理学で子供を幸せにする

どうすれば私たちは幸福になれるか。ポジティブ心理学の研究成果をお伝えします。どのような環境でも、人は幸福になれます。大切なのは、どんな行動習慣を持っているかです。
■人はモノで幸せになれるか

豪華な食事も、宝石も、一瞬は人を幸せにしますが、長続きはしません。心理学の研究によれば、お金や環境や見た目によって変わる幸福度は、わずか10パーセントです。

車椅子になった人と宝くじが当たった人の、1年後の幸福感はそれほど違わなかったという研究もあります。

あなたの幸せを決めるのは、毎日どんな選択をするのか、どんな行動習慣を持っているかです。子どもに教えるべきは、この行動習慣です。

幸福感が高まると、結果的に健康になり、長生きし、収入も高まることがわかっています。
■心理学が実証した幸福になれる行動習慣
■ありがとう

感謝の心を表せる人は、幸福感が高まります。人はどんなものにも慣れてしまうので、お金がいくらあっても幸福がどんどん高まるわけではありません。けれども感謝できる人は、毎日の日常生活に感謝して、幸福が持続します。

心理学の研究によれば、ありがとうのカードを書くと幸福感が高まりました。毎日寝る前に、その日起きた感謝な出来事を数え上げると、幸福感が高まりました。

感謝することは、幸福になれる行動習慣の土台です。いつも感謝している人は、見るからに幸せそうですね。ありがとうと言ってもらうと気分が良いですけれども、ありがとうを言う人こそが幸福になれる人です。
■親切

人に対する親切行動を続けている人は、幸福感が高くなります。ボランティアをしてもらうと幸福感が高まりますが、ボランティアをしている人は、もっと幸福感が高まります。

人に親切にしたり、人の役に立った時に、心が温かくなった記憶は多くの人が持っていることでしょう。

夜回り先生として有名な水谷修先生は、少年を構成させるときに、しばしば良いことをさせます。近所のおばあさんの手伝いなどをさせるのです。そうすると、最初は渋々始めた少年が、次第に生き生きとしてくるのです。

人は、確かにお金が欲しいとか楽したいとか有名になりたいなどと考えますけれども、人の役に立ちたいとも心の底で願っているのです。
■熱中する

熱中するものを持っている人は、幸福感が高まります。仕事でも、スポーツでも、芸術でも。熱中している間は、嫌なことを忘れます。無我の境地です。時間が早くすぎます。
■目標を持つ

目標を持って、目標に向かっている人は、幸福感が高いことがわかっています。心理学の研究によれば、人は目標を達成して幸福になるのではなく、目標に向かうことによって幸福になっていきます。

生きる目標、人生の目的を持っている人は、幸福です。
■人を許す

人を恨むよりも、人を許す方が幸福になれます。ただし、これはとても難しいことです。許しなさいとは、なかなか言えません。けれども、心理学的には、幸福になるためには許す方が効果的だとは言えます。

仲良しこよしになる必要はありません。心の中で、許すと言うだけで十分です。
■人と比較しない、考えすぎない

人と比較することによる幸福感は、とても不安定です。人との比較ではない、安定した幸福感が必要です。人は、しばしば考えすぎます。無駄に考えることが、幸福感の邪魔をします。
■楽天的になる

楽天的な人は、物事にチャレンジできます。チャレンジの回数が増えれば、成功の確率も上がります。チャレンジし続けること自体が幸福感を高めます。

楽天的になるとは、一切の心配をするなとか、ひたすら前向きになれと言うのでもありません。心配や不安も必要です。でも、悪いことが起きても、それでも自分のベストを尽くすことができるというのが、楽天的ということです。
■ストレスの解消法を知る

不幸な人は、幸福な人たちがとても幸運で悪い出来事と出会っていないからだと誤解しています。不幸はどの人にも襲ってきます。ただ、幸福な人々は、不幸の乗り越え方を知っているのです。

様々な困難には、出会うでしょう。その困難をどう捉え、そのストレスをどう解消していくかを学ぶことが、幸福につながります。
■人間関係を大切にする

家族や友人との人間関係を大切にしている人は、幸福感が高まります。家族の不和は、大きなストレスですね。また、高齢になった時の幸福感に友人の存在が大切だという研究もあります。

家族は大切なのですが、家族はときに重すぎます。友人関係は、もっとフレキシブルなので、幸福に役立つことも多いのです。
■人生を深く味わう

結果だけではなく、内面を重んじます。同じ経験でも、深く味わい、良い思い出にしていきます。これが、人を幸福にします。

人生とは、過去の出来事の集約ではなく、過去の出来事の記憶の仕方と解釈です。

友人たちや家族親戚と、アルバムを開き、昔を懐かしむのも幸福感を高めます。高齢者が昔話をするのも同じです。

こういうときに語る「昔は良かった」は、必ずしも現在の否定にはなりません。
■スポーツ

運動することが幸福感を高めることも、心理学的に実証されています。
■幸福な人のそばに行く

心理学の研究によれば、不幸な人は孤独ではなく、不幸な人同士で集まって、さらにあ互いに不幸にしています。一方、幸福な人も集まって互いに幸福にしあっています。

世の中には、幸福な人々の集まりがあります。日のため人のための活動をしているグループや、趣味のグループ。あなたが幸福になりたいと思うなら、そんな人たちのところへ行きましょう。あなたも、自然と幸福になれる行動習慣を身につけます。

子どもたちも、どんな生活習慣を持つか、どんな人々と付き合って行くのかが、その子の幸せを左右するでしょう。どのような子どもも、幸せになれるのです。